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History

第三部

遥かなる未来を目指して ~次の100年へ向けた取り組み~

1991年~2016年 [平成3年~平成28年]

1. 女性頭髪市場への参入

Beスタイリングシリーズ

■ 「Be(ビィー)」の発売

時代は少しさかのぼりますが、1985(昭和60)年、女性頭髪化粧品の初代シリーズとなる「Be」が発売されました。ヘアジェル2品とヘアフォーム2品を揃え、翌年にはヘアブロー2品が追加されます。ストレートのロングヘアの流行が始まったためです。

■ 「女性による、女性のためのプロジェクト」の発足

その頃の柳屋は男性の従業員の比率が高く、取り扱い品目も大半が男性化粧品でしたが、女性のヘアスタイルが、さまざまなアレンジへと変化する中、女性の悩みやニーズを明らかにするには、女性の思考が不可欠でした。そこで新たな試みとして「女性による、女性のためのプロジェクト」を立ち上げました。メンバーは研究所、企画部門の女性スタッフでした。

Befreeシリーズ

■ 「ビィーフリー」の発売

前述の、「女性による、女性のためのプロジェクト」でリサーチを重ねて誕生したのが、1990(平成2)年発売の「ビィーフリー」シリーズです。女性が自由なスタイリングを手に入れる意味を込めたネーミングのこのシリーズは、これまでの、「女性化粧品には何でも香りが必須」という常識をくつがえしました。お気に入りの香りのシャンプーと自由に組み合わせられる「無香料」シリーズという新しい発想と、イメージキャラクターのアイドルに奇抜なヘアスタイルを組み合わせた広告もインパクトを与え、「ビィーフリー」シリーズは大ヒットしました。

2. サロン発想の商品開発

ジェノス

■ 「ジェノス」シリーズの発売

1995(平成7)年、カラーリングやパーマ、ドライヤーなどで髪の傷みが気になる女性が増えていたこの頃、ヘアサロンではヘアクリームのトリートメント効果が見直され、話題となっていました。乳化の技術に自信を持つ柳屋では、早速この時代に合ったヘアクリームの開発に着手します。およそ40年前に発売した「柳屋ヘアクリーム」は、いまだ柳屋の主力商品でしたが、時代のニーズに比べて仕上がりがやや重すぎたのです。そこで、新たな開発にとりかかり、油分を控えて保湿成分で補い、伸び良く健康的なツヤを与えるヘアクリームをつくり、仕上がりの好みに合わせて選べるように2種類用意しました。従来のヘアクリームはボトルタイプが主流でしたが、使いやすいワンタッチキャップ付きのチューブを採用しました。こうして誕生した「ジェノス」シリーズは、価格を抑えたことで、初めて手に取る若年層から、もともとヘアクリームの良さを認知している年配者まで、幅広く顧客の人気を得ました。

ソールヴェールヘアワックス

■ 平成の整髪料革命 ヘアワックス

1996(平成8)年頃、同じくヘアサロンが火付け役となり、久しぶりの整髪料革命が起こりました。ヘアワックスの台頭です。文字どおりワックス=ロウ成分が主な整髪成分で、当時流行した毛束をねじって根元から立ち上げるヘアスタイルをつくり込めて、何度でも再整髪ができる点がスタイリストに好まれました。そのヘアスタイルとセットで普及し、たちまち多くのユーザーに愛される存在となったのです。柳屋では、カリスマ美容師ブームが盛り上がりをみせたこの頃、このワックス市場に参入し、1997(平成9)年に女性用「ソールヴェールヘアワックス(2009年廃番)」、1999(平成11)年に男性用「アットレーヘアワックス」を発売しました。

3. 次代の変化を捉えたヒット商品

椿ちゃんの髪しっとり美容液

■ 「椿ちゃん」をきっかけに

2004(平成16)年8月、「椿ちゃんの髪しっとり美容液」が誕生します。当時、若い女性に注目されながらも、うまく使うにはコツが必要な"椿油"を「簡単に使える」ということが特長の商品で、パッケージは和服姿の女の子「椿ちゃん」が描れた独特な商品でした。翌2005(平成17)年には「椿ちゃんの髪超しっとり保湿クリーム」、「椿ちゃんの毛先までつやつやになる補修液」の2品を追加、徐々に店頭でも目立つ存在になっていきました。

■ 「4711」国内総代理店に

2007(平成19)年8月、柳屋本店は独国モイラー&ヴィルツ社と、「4711」ブランドに関する日本国内総代理店契約を結びます。「4711」はもともとドイツにあるミューレンス社のブランドで、1792年10月(日本では寛政4年・江戸幕府11代将軍家斉の時代)、ドイツのケルンという土地で生まれた歴史の長い香水です。当時は「アクア・ミラビリス=不思議な水」と呼ばれ、ナポレオン戦争で街が仏軍によって占領された際、軍が管理のために工場の壁に振った番号=「4711」がブランド名称のルーツです。また、仏軍が名付けた「ケルンの水=eau de Cologne」が、オーデコロンの語源となっており、兵士がフランスの家族や恋人に土産として送ったことで、ヨーロッパに広まりました。「4711」シリーズは、古くからのファンが多く、大変人気が高い商品です。

■ トップ商品「柳屋あんず油」の発売

2008(平成20)年2月、のちに柳屋のトップ商品となる「柳屋あんず油」が発売されました。「柳屋あんず油」は、天然の杏仁油で、あんずの種子を圧搾して得られるヘアオイルです。あんず油は、化粧品口コミサイト@cosme(アットコスメ)において話題になったことで人気に火がつきました。特に他のヘアオイルに比較してサラッと軽く、香りがいい点が評判を呼び、多くの方に愛用されています。

4. 東日本大震災と柳屋

■ 震災への対応

2011(平成23)年3月11日14時46分18秒、仙台市の東方沖70㎞の太平洋海底を震源とする国内最大の地震が発生しました。柳屋では翌週から「危機対策本部」を設置、義援金の支出を決定するとともに、得意先、仕入先の被害に関する情報の収集に努めました。

5. 未来へ向けた試み

■ 産学連携プロジェクトの発足

2012(平成24)年5月、柳屋は新たな試みとして、CRS(企業の社会的責任)の一環と、広報活動における新手法の創出を目的に、明治大学商学部のゼミと、産学連携プロジェクトを発足しました。SNSの活用など、さまざまなアイデアが活発に議論され、1年以上を費やすプロジェクトとなり、その成果は2013(平成25)年10月、「学生団体メッセ」の開催という形に仕上がり、達成されました。

■ 創業400周年に企業ロゴを一新

2015(平成27)年1月、柳屋は創業400周年を新橋第一ホテルにおいて祝い、新しい企業ロゴを発表しました。これまで「企業ロゴ」は数種類を使い分け、「柳」のイメージから色は「緑系」が使われるケースが多かったのですが、新しいロゴでは、かつて日本橋の柳屋の店舗に掛けられていた「のれん」をイメージした「濃藍」をコーポレートカラーとし、将来のグローバル展開を意識して、アルファベット表記の「YANAGIYA」に統一したのです。

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