恋愛や別れ、青春の葛藤など、等身大の経験を綴った切ない楽曲で、若者を中心に多くの共感を得ている3ピースバンド、reGretGirl。あんず油の新CMのタイアップ曲として、最新シングル「エバーソング」を提供いただいています。結成10周年を迎えてますます精力的に活動を続ける3名に、前後編にわたってインタビュー。前編では、普段から大切にされていることや楽曲へのこだわり、この10年間の変化などをうかがいました。
平部
「エバーソング」は「2人の関係がずっと続いていく」というコンセプトで、作中に登場する主人公が相手に対するストレートな想いを伝える楽曲となっています。reGretGirlは僕が失恋をきっかけに結成したバンドなので、過去にリリースした楽曲の多くは失恋をテーマにしています。それが僕たちの武器でもあるんですが、これまでのバンド活動や日常生活の中で幸せを感じる瞬間もたくさんあって、「いつかまっすぐなラブソングが書きたい」という気持ちが芽生えてきたんです。「エバーソング」は普遍的な愛を綴っていますが、僕が歌うから具体的でもあるという、それぞれのいいところが詰まった1曲に仕上がったと思っています。
平部
そうですね。最近は僕が楽曲の方向性やデモ音源をいくつか用意して、その中からみんなで相談して決めていくケースが多いです。
十九川
「エバーソング」の場合は平部の提案をもとに、歌詞の世界を踏まえて、「ベースはもっとゆったりと、大らかなほうがいいかな」と考えながら調整していきました。
前田
僕は基本的に平部にお任せしていて、そのうえで「ドラムはこっちに任してね」というスタイルでやっていますね。
平部
「自分が感じたことや経験したことを曲にしたい」という気持ちです。また同時に、未経験のことに対して想像を働かせることも大切にしています。僕はミュージシャンという道を歩いているので、それ以外の生活を経験することは簡単ではありません。だからこそ、読書や映画鑑賞を通じて自分の知らない世界を擬似体験したり、「目の前の人はどう感じているんだろう?」と相手の立場で考えたりすることは意識しています。
十九川
僕は歌のように動きのあるベースラインが好きなので、そこは常に意識しながらも、同時に決して目立ちすぎないことも心がけています。いわゆる「縁の下の力持ち」のような存在として、楽曲を彩りつつ下支えするベーシストでありたいと思っています。
前田
僕の行動原理はとてもシンプルで、「楽しい」か「楽しくないか」だけなんです。音楽は楽しいから今日まで続けてこられたと思っていますし、特にライブをしているときが一番楽しくて「生きているな」と実感します。人生1回きりなんで、とにかく楽しいほうに進んでいきたいですね。
平部
両親が音楽好きだったので、小さい頃から「いつかはバンドを組みたい」と自然と考えるようになっていました。それで中学では吹奏楽部、高校では軽音楽部に所属して、大学でバンドを組み始めました。
十九川
僕はテレビ番組などでずっと音楽を聴いていて、「バンドっていいな」「低音ってカッコいいな」と思いながら過ごしていました。それで高校生になってから思い切ってベースを購入したんですけど、すぐに挫折して1日で辞めてしまったんです(笑)。だけど大学時代に「何か活動しなきゃ自分が終わってしまう!」という危機感から軽音楽部に飛び込み、本気でベースを弾き始めました。
前田
姉が中学時代に吹奏楽部に所属していたので、僕もなんとなくで吹奏楽部に入ったのがきっかけですね。当時はサックスを担当していたんですが、高校では軽音楽部に入って、本格的にドラマーとして活動するようになりました。
平部
reGretGirlは僕が大学生のときに立ち上げたんですが、当初はまったく違うメンバーで活動していたんです。ただ、2回ほどライブをしたら僕以外のメンバーがいなくなってしまって(笑)。ちょうどそのライブを、大学の先輩だった十九川が観に来てくれていたんです。
十九川
僕は僕で、そのライブの1週間前に、当時付き合っていた人に振られていて(笑)。そんな時期だったからこそ平部の歌がすごく心に響きましたし、このまま活動休止になるのはもったいないと思って「ベースを弾く人がいないならやるよ」と声をかけたんです。
前田
そんな平部と十九川がドラムを探しているということで、僕に声をかけてくれました。2人とは以前からライブハウスで親しくしていましたし、ちょうど当時所属していたバンドを抜けたタイミングでもあったので、ちょうどいいタイミングだなと思って、まずはサポートメンバーとして加入しました。
平部
この3人の空気感や、3人でいるときの居心地の良さはずっと変わっていないですね。そのうえで、一人ひとりの変化や成長も実感しています。僕自身は、reGretGirlのリーダーとしての責任感が強くなった自覚があります。十九川も前田も僕を信じて集まってくれていますし、たくさんの人たちが応援してくれるようになったからこそ、1つの物事に対しても真剣に向き合わないといけないと思えるようになりました。
十九川
客観的に見ても、リーダーとしてすごく頼れるようになったと感じますね。
平部
ありがとう(笑)。
あと、周りの環境や人が変わってきたことも大きいと感じます。最近は僕たちが憧れてきた音楽の先輩に挨拶させていただく機会も増えたんですが、実際にお会いすると、どなたも人間性がすばらしくて。だから僕たちも、周りからそう思われる存在にならなきゃいけないと思うようになりましたね。
十九川
やはり聴いてくれる人が増えたことで、「下手な演奏はできない」「もっと僕たちの音楽を楽しんでほしい」という気持ちはとても強くなりました。また、今の3人で活動を始めた頃、僕だけが社会人として企業勤めしていたんです。なおかつ僕が一番年上なので「自分がしっかりしないと」と思い込んでいました。でも、平部のリーダーシップが高まるにつれて、自分のやるべきことに専念できるようになったと感じています。
前田
たしかに十九川は、昔よりも自分自身のことや趣味に向き合えるようになった気がする。
平部
いい意味でマイペースになったと言うか。それに十九川は、会社を辞めてからめちゃくちゃベースが上手くなったよね。
十九川
もちろん会社員のときも全力で音楽に向き合ってはいたけど、今は音楽のために使える時間が圧倒的に増えたからね。
前田
自分が変わったという認識はあまりないですね。体型と髪型くらいだと思います。
一同
(笑)
平部
前田はもともと落ち着いているタイプだったけど、年々それに磨きがかかっている気がしますね。僕らの音楽はドラムが軸になって、そこにギターやベース、歌が合わさっていくスタイル。だからドラムはとても重要な役割なんですが、そこをすべて任せられるのは、どんなときも冷静でいてくれるからです。
reGretGirlはこの1年くらいでライブパフォーマンスがめちゃくちゃ上がったと実感しているんですが、それはやはり前田の上達やキャラクターによるところが大きいと思いますね
reGretGirlのみなさんへのインタビューは、この後ますます盛り上がっていきました。
後編では、ターニングポイントになった出来事や今後チャレンジしてみたいことなどを中心にお届けします。お楽しみに!